NTCPのトランスポーター機能に影響しないB型肝炎ウイルス特異的侵入阻害剤シクロスポリン誘導体の同定

NTCPのトランスポーター機能に影響しないB型肝炎ウイルス特異的侵入阻害剤シクロスポリン誘導体の同定

2017年2月08日

Cyclosporin derivatives inhibit hepatitis B virus entry without interfering with NTCP transporter activity.

Shimura S, Watashi K*, Fukano K, Peel M, Sluder A, Kawai F, Iwamoto M, Tsukuda S, Takeuchi JS, Miyake T, Sugiyama M, Ogasawara Y, Park SY, Tanaka Y, Kusuhara H, Mizokami M, Sureau C, Wakita T.

J Hepatol. 66(4): 685-692 (2017) pii: S0168-8278(16)30683-3. 66(4): 685-692 (2017) pii: S0168-8278(16)30683-3.

 

これまでB型肝炎ウイルス(HBV)感染受容体NTCPを標的とする様々なHBV侵入阻害化合物が発見されてきた。しかし、それらほぼ全てはHBV侵入だけでなくNTCP本来の機能である肝細胞への胆汁酸取り込みも阻害してしまうため、胆汁酸代謝変化による副作用が否定できない。


 本研究では、以前すでにNTCPと相互作用しHBV侵入を阻害することを明らかにしたシクロスポリンをリード化合物として、その様々な類縁体を解析した。その結果、IC50が0.4~2 μMで抗HBV活性を持つ4つの類縁体を同定した。興味深いことに、そのうち2化合物はNTCPに直接結合するが胆汁酸取り込みは低下させないことが明らかとなった。これらの化合物はより副作用少なく特異的HBV侵入阻害を達成できる新規治療薬シーズになると期待される。

 

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