宿主のホスファチジルイノシトール-4-キナーゼβ(PI4KB)/ オキシステロール結合タンパク(OSBP)ファミリーI経路から独立するポリオウイルスの進化

宿主のホスファチジルイノシトール-4-キナーゼβ(PI4KB)/ オキシステロール結合タンパク(OSBP)ファミリーI経路から独立するポリオウイルスの進化

2019年6月21日

Poliovirus evolution toward independence from the phosphatidylinositol-4 kinase IIIβ/ oxysterol-binding protein family I pathway.

Minetaro Arita, and Joëlle Bigay

ACS Infectious Diseases, 5: 962-973, 2019

 

PI4KB/OSBP経路は、ポリオウイルスを含む多くのウイルスの複製に利用されており、ウイルスの複製に必須な宿主経路の一つであると考えられています。今回、国立感染症研究所ウイルス第二部とフランスのコート・ダジュール大学との共同研究により、PI4KB/OSBP経路に依存しないポリオウイルス変異株を分離しました。

 興味深いことに、部分的非依存性を与える変異と依存性を高める変異が同時に存在することが、ほぼ完全な非依存性に必要であることがわかりました。本研究の結果は、宿主経路の阻害に対するウイルスの進化過程に新しい知見を与えるものです。今後さらに研究を進めることで、将来的には抗ウイルス治療における耐性ウイルスの出現を制御出来る技術の開発につながることが期待されます。

virology-2019-8.png