転写共役因子VGLL1は転写因子TEAD1を介してヒトパピローマウイルス初期遺伝子の転写を誘導する

転写共役因子VGLL1は転写因子TEAD1を介してヒトパピローマウイルス初期遺伝子の転写を誘導する

2020年5月13日

The Transcriptional Cofactor VGLL1 Drives Transcription of Human Papillomavirus Early Genes via TEAD1.

Mori S, Takeuchi T, Ishii Y, Kukimoto I

J Virol. 2020, 94: e01945-19.

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)はヒトの上皮細胞に感染し、子宮頸がんの原因となる。HPVの初期プロモーターからは、ウイルスのがん蛋白質であるE6、E7などをコードする初期遺伝子が転写されるが、その調節機構には不明な点が多い。

 

本研究では、細胞の転写共役因子VGLL1が、転写因子TEAD1を介してHPVゲノムの転写調節領域の複数の部位に結合し、HPV初期遺伝子の転写を誘導することを明らかにした。TEAD1が広範な細胞種で発現しているのに対し、VGLL1は主に上皮系の細胞で発現していることが報告されている。VGLL1はHPVの上皮特異的な遺伝子発現に関わる宿主因子の1つと推測される。またVGLL1は子宮頸がん細胞の増殖に必須であったことから、子宮頸がん治療の新たな標的分子となり得る。

本研究は、JSPS(科研費18K09244)の助成により行った。

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