本研究では、B型肝炎表面抗原(HBs抗原)を発現するトランスジェニックマウス(HBs-Tgマウス)とHBVに感染したヒト肝細胞キメラマウスを用いて、IFNによる肝炎誘導メカニズムを解析した。これらマウスにIFNを投与すると肝障害が誘導され、肝障害の程度は肝臓内のHBs抗原の蓄積と相関していた。興味深いことに、肝臓内でのIFNシグナル誘導に伴い、小胞体ストレスを処理する不全タンパク質反応(UPR)が一過性に減少した。さらに、IFNシグナル誘導前にUPRを活性化すると、IFNによる肝障害が有意に軽減された。これらの結果は、IFNはUPRを抑制することにより、HBs抗原蓄積肝細胞を傷害することを示唆している。
インターフェロンシグナルは、不全タンパク質反応を抑制し、B型肝炎ウイルス表面抗原を蓄積する肝細胞の細胞死を誘導する
インターフェロンシグナルは、不全タンパク質反応を抑制し、B型肝炎ウイルス表面抗原を蓄積する肝細胞の細胞死を誘導する
2021年5月19日