セービン株由来不活化ポリオワクチンのD抗原性と免疫原性に与える加温の効果

セービン株由来不活化ポリオワクチンのD抗原性と免疫原性に与える加温の効果

2020年4月01日

vac-2020-1.pngEffects of the thermal denaturation of Sabin-derived inactivated polio vaccines on the D-antigenicity and the immunogenicity in rats.

Murakami K, Fujii Y and Someya Y

Vaccine 38(17):3295–3299, 2020

セービン株由来不活化ポリオワクチン(sIPV)の有効性はラット免疫原性試験と中和抗体を誘導するD抗原量の測定試験で評価される。国家検定では前者の試験が行われている。これら二種の試験の関係を明らかにするために、sIPVを加温処理し、D抗原性および免疫原性に対する効果を調べた。

  その結果、加温処理後にわずかにD抗原が残存しても、比較的高い力価の中和抗体を誘導することが観察された。このことは、sIPVの品質管理としてD抗原含量を測定するほうが、ワクチンの劣化状態をより適切且つ高感度に検出することができることを示している。D抗原含量試験の導入は、動物実験の3R(「Replacement(代替)」「Reduction(削減)」「Refinement(改善)」)の理念に適うばかりでなく、試験費用の削減、試験期間の短縮を実現させることができる。

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