Keigo Ueno, Akiko Nagamori, Nahoko Honkyu, Kyung J. Kwon-Chung, and Yoshitsugu Miyazaki
病原性真菌クリプトコックスは, 免疫細胞の攻撃を巧みに回避しヒトの肺に感染します. 感染予防には, ワクチンを投与して菌体を記憶した特殊な免疫細胞を誘導する必要があります. しかし未解明な点が多く, ワクチンもまだ市販されていません. 今回私達は, 新しい経鼻ワクチンを開発し, 動物実験で有効性を実証しました. このワクチンは, 菌体を記憶し肺に定着する新しい免疫細胞 “Lung TRM2”を誘導しました. Lung TRM2は, 各種免疫細胞を菌体周囲に誘引し, 菌体を閉じ込めることで菌の増殖を抑えました. この反応は肉芽腫形成と呼ばれ, この感染症の制御に重要であると考えられました. Lung TRM2による肉芽腫形成は, 新しい感染防御機構であり, 今後のワクチン開発に応用できる可能性があります. 本研究は, 米国NIAIDとの共同研究で, JSPS・AMEDの支援を受けて実施しました.
Lung-resident memory Th2 cells regulate pulmonary cryptococcosis by inducing type-II granuloma formation