サルエイズモデルでのウイルス複製長期制御群の解析:ウイルス特異的CD8陽性T細胞反応の広範化は検出限界以下の低レベルのウイルス増殖を反映する

サルエイズモデルでのウイルス複製長期制御群の解析:ウイルス特異的CD8陽性T細胞反応の広範化は検出限界以下の低レベルのウイルス増殖を反映する

2016年5月18日

immunology 2016 1Broadening of Virus-Specific CD8+ T-Cell Responses Is Indicative of Residual Viral Replication in Aviremic SIV Controllers

Nomura T, Yamamoto H, Ishii H, Akari H, K. Naruse T, Kimura A, Matano T.

PLoS Pathogens, Published on November 4th, 2015 (doi:10.1371/journal.ppat.1005247)PLoS Pathogens, Published on November 4th, 2015 (doi:10.1371/journal.ppat.1005247)

本研究室ではSIV感染サルエイズモデルによるCTLの解析を行い、HIV複製制御機序の解明ならびに予防エイズワクチン開発を目指している。

 SIV長期複製制御群は、プロウイルスゲノムにCTL逃避変異のないグループNと、CTL逃避変異の継時的な蓄積がみられたグループMに分かれた。グループNでは感染後2年にわたりCTL反応の標的に大きな変化はなかったが、グループMでは4か月よりCTL反応標的の広範化がみられた。複製制御群におけるCTL標的の広範化はCTL逃避変異蓄積さらにはウイルス複製制御破綻の前兆であることが示され、逆にCTL反応標的の変化がない個体群は永続的ウイルス複製制御モデルと考えられた。
本研究はHIV感染におけるCTL反応による長期複製制御維持の可能性を示しその機序解明に貢献するものである。

図:複製制御個体の2つのグループの病態進行の模式図

immunology-2016-2.png