C型肝炎ウイルス(HCV)感染培養系を用いたNS5A阻害剤耐性変異株に有効な抗HCV薬の探索

C型肝炎ウイルス(HCV)感染培養系を用いたNS5A阻害剤耐性変異株に有効な抗HCV薬の探索

2016年10月17日

Effects of Resistance-Associated NS5A Mutations in Hepatitis C Virus on Viral Production and Susceptibility to Antiviral Reagents.

Nitta S, Asahina Y, Matsuda M, Yamada N, Sugiyama R, Masaki T, Suzuki R, Kato N, Watanabe M, Wakita T, Kato T.

Scientific Report, 6:34652, 2016.

近年、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製を直接阻害する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が開発され、インターフェロンフリーの治療によって高い治癒率が期待できるようになった。しかし、これに伴いDAA耐性変異株の存在や治療中の出現が問題となり、薬剤耐性ウイルスを有する患者に対する新規治療戦略の確立が課題となっている。

 

そこで本検討では、HCV JFH-1キメラウイルスの培養系を用いて、DAAの中で中心的な役割を果たすNS5A阻害剤に対する耐性変異を持つウイルスの性質を明らかにし、これら耐性株に有効な抗HCV薬の探索を目的とした。その結果、NS5A阻害剤に強い耐性を示すY93H変異を持つ株はプロテアーゼ阻害剤に感受性を示し、これらの薬剤を含む治療がこの耐性株に対する有効な治療法となる可能性が示された。

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