B型・D型肝炎ウイルス粒子を直接標的とする侵入阻害剤proanthocyanidinの同定

B型・D型肝炎ウイルス粒子を直接標的とする侵入阻害剤proanthocyanidinの同定

2017年2月08日

A new class of hepatitis B and D virus entry inhibitors, proanthocyanidin and its analogs, that directly acts on the viral large surface proteins.

Tsukuda S, Watashi K*, Hojima T, Isogawa M, Iwamoto M, Omagari K, Suzuki R, Aizaki H, Kojima S, Sugiyama M, Saito A, Tanaka Y, Mizokami M, Sureau C, Wakita T.

Hepatology 65(4): 1104-1116 (2017) DOI: 10.1002/hep.2895265(4): 1104-1116 (2017) DOI: 10.1002/hep.28952

 

現在臨床で利用されているB型肝炎治療薬はインターフェロン類と核酸アナログの2系統に限られており、さらなる治療効果改善のため既存薬と異なる作用機序の新薬開発が望まれている。


 今回我々は、これまでと異なる新しい作用機序のB型肝炎ウイルス(HBV)侵入阻害剤proanthocyanidin (PAC) を同定した。PACはHBV粒子上のエンベロープタンパク質を直接標的とし、HBV感染を阻害することが判明した。これまでに報告されているHBV特異的侵入阻害剤のほとんどはHBV受容体NTCPを標的としその胆汁酸輸送活性も同時に低下させるが、PACおよびその誘導体はこれらに比べて副作用少なくHBV阻害を達成できると考えられた。これは既存薬との多剤併用療法を可能とする新系統の抗ウイルス剤として期待される。 

 

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