感染症疫学センター疫学企画部

感染症疫学センター疫学企画部

 1997(平成9)年に国立予防衛生研究所から国立感染症研究所に改称された際に、感染症疫学部(当時)の発展解消として感染症情報センター (IDSC) が設置され、2013年に感染症疫学センターに改称された。2021年の組織再編により、感染症疫学センターは、センターの企画管理を担当する3つの室 (企画管理グループ)、サーベイランスを担当する4つの室 (サーベイランスグループ)、予防接種を担当する4つの室 (予防接種グループ)、疫学研究を担当する3つの室 (疫学研究グループ) からなる14室体制となった。そして2025年の国立健康危機管理研究機構の設置に際して、感染症疫学研究分野を構成する感染症疫学センター、疫学企画部、疫学研究部、感染症サーベイランス研究部、予防接種研究部に再編された。ここでは感染症疫学センター、疫学企画部、疫学研究部について紹介する。

感染症疫学センター

 感染症疫学センターは、国立健康危機管理研究機構の内外の研究者と連携し、感染症の疫学および公衆衛生に関する研究を行っている。また、複数の連携大学院の枠組みを通じて、若手研究者の育成・指導にも取り組んでいる。

  • 第一室:公衆衛生研究室

 公衆衛生研究室は、科学・政策・社会の境界に着目し、分野横断的なアプローチにより、公衆衛生全般に資する研究を行っている。

  • 第二室:感染症疫学分析室

 感染症疫学分析室は、疫学的および統計学的手法を用いて、感染症対策に資する研究を行っている。特に、大規模データベースの解析を通じた、ワクチンの公衆衛生的価値評価に関する研究に取り組んでいる。

疫学企画部

 疫学企画部は、感染症疫学センターが実施する研究および講習等について、その企画および調整を担う。

  • 第一室:企画調整室

 企画調整室は、感染症疫学センターが実施する研究および研修の企画・調整を行うとともに、感染症疫学センターの事務全般の処理を担当する。

疫学研究部

 疫学研究部は、感染症研究のデザイン、統計解析の支援、感染症数理モデルを用いた感染症の流行分析、対策戦略の設計、海外フィールド研究を行っている。

  • 第一室:統計・機械学習研究室

 統計・機械学習研究室は、数理統計学、機械学習、およびネットワーク科学の理論的発展を軸に、感染症対策のパラダイムを数理科学の観点から刷新することを目指す。研究の核となるのは、単なるデータ解析に留まらない、時空間モデリングや因果推論、深層学習における独自の理論開発である。複雑な社会動態や生物学的プロセスを記述するための数理的基盤を自ら構築し、それを国家的なビッグデータへと適用することで、科学的根拠に基づく公衆衛生戦略を創出の一助となることを目指している。具体的な研究対象は、GPSや衛星データ、リアルタイムサーベイランス情報を統合した高解像度な流行分析から、水際対策の有効性評価、さらには超過死亡の精密な推定まで多岐にわたる。特に、気候変動がもたらす生態系の変容や人口動態の変化を考慮したシナリオ分析を行い、個人レベルから集団レベルまでを横断する「AI-drivenなNext Pandemic防衛基盤」の構築を推進している。さらに、社会経済活動とのトレードオフを考慮した介入戦略の最適化にも注力している。感染被害を最小化すべく、リアルタイムで得られるフィードバックに基づき、ワクチンや行動制限等の対策を動的に制御する因果推論フレームワークを開発する。理論の厳密さと実社会への即応性を両立させ、データサイエンスの力でパンデミックのリスクを未然に防ぎ、社会のレジリエンスを高めることが我々の使命である。

  • 第二室:理論疫学研究室

 理論疫学研究室は、疫学的手法を用いて感染症の流行動態と対策戦略の効果を把握し、公衆衛生上の意思決定に資する情報を提供することを目的とする。具体的には、感染症の自然史に関する推定、感染動態の解明、流行対策の評価を柱として研究を推進するとともに、関連する講習・人材育成を実施する。方法論は数理モデルに限定せず、観察研究の設計、推定・評価手法も用い、報告遅延、検査・診断体制の変化、未把握感染の存在など、感染症データに固有の背景要因を考慮しつつ、流行規模、実効再生産数、重症化・死亡リスク等の指標を推定する。さらに、ワクチン接種、行動変容、学校・職場での対策、水際対策などの介入について、観測データに基づく効果検証を行う。分析にあたっては、サーベイランスデータに加え、人流、気象・環境データ、死亡統計等を統合し、地域差や年齢構造などを踏まえた多角的な評価を実施する。当室はこれらの研究を通じて、新興・再興感染症への備えとなる知見を創出し、科学的根拠に基づく政策判断に貢献することを目指す。

  • 第三室:国際疫学研究室

 国際疫学研究室は、海外フィールドにおける呼吸器感染症やデング熱をはじめとする熱帯感染症、および新興・再興感染症を対象とした疫学研究の実施、またそれに関連する業務を行う。また、各国の保健省や学術機関との共同研究を推進し、連携を通じて実務的な研究ネットワークを構築する。これらの活動を通じて海外の感染症情報の収集や科学的知見の蓄積を図るとともに、公衆衛生上の課題となっている感染症対策を支援するため、技術協力や専門的支援を通じた国際協力活動を行う。


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