ポリオウイルスの3ABタンパクの切断には、3Dポリメラーゼ領域が必要である

ポリオウイルスの3ABタンパクの切断には、3Dポリメラーゼ領域が必要である

2026年5月21日

Poliovirus 3Dpol polymerase region is essential for cleavage of poliovirus 3AB in vivo

Minetaro Arita

PLOS Pathogens, 2026.

ポリオウイルスが細胞に感染すると、1本の大きなウイルスタンパク質(ポリプロテイン)が合成されます。ポリプロテインにはプロテアーゼがコードされており、このプロテアーゼによってウイルスの複製に必要なそれぞれのウイルスタンパク質および中間体のタンパク質を切断して産生されます。中間体の一つである3ABタンパクの切断(3Aおよび3Bタンパクを産生)は、興味深いことに、ウイルス自身のプロテアーゼのみでは進行せず、宿主タンパク質(PI4KB/OSBP)が関与する特殊な反応であることが知られています。本研究では、ポリプロテインの中の3Dポリメラーゼ領域の解析を進める過程で、予想外に3ABタンパクの切断に3Dポリメラーゼ領域が関与していることを見いだしました。3Dポリメラーゼは、3Bタンパクのウリジル化を介してウイルスRNA複製を開始する酵素として知られていますが、ウイルスタンパク質の切断過程における役割はこれまで明らかではありませんでした。さらに、3ABタンパクの切断には、3Bタンパクのウリジル化に必要な3Dポリメラーゼの機能領域が関与していることが明らかとなりました。これらの結果は、3ABタンパクの切断と、その後の3Bタンパクのウリジル化が密接に連携した反応であることを示唆しています。本研究で得られた知見は、細胞内におけるポリオウイルス複製を支える新たな分子機構を提示するものであり、今後この過程を標的とする新たな抗ウイルス戦略の開発につながることが期待されます。

本研究は、AEMD(課題番号:JP25fk0108716およびJP26fk0108716)の支援を受けて行われました。


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