新型コロナワクチンにおけるスパイクタンパク質の融合前安定化変異は抗原構造の階層性を変化させ隠れていた保存領域への抗体応答を促す

新型コロナワクチンにおけるスパイクタンパク質の融合前安定化変異は抗原構造の階層性を変化させ隠れていた保存領域への抗体応答を促す

2026年5月1日

Prefusion-stabilized SARS-CoV-2 spike reshapes antigenic hierarchy and antibody targeting against conserved and occluded epitopes

Shintaro Oishi#, Ryutaro Kotaki#*, Hisham M. Dokainish#, Saya Moriyama, Shinichiro Ota, Takayuki Matsumura, Tomohiro Takano, Taishi Onodera, Yu Adachi, Kazutaka Terahara, Masanori Isogawa, Kazuhiko Katayama, Takashi Sato, Masaharu Shinkai*, Yoshimasa Takahashi*
(# Equally contributed, *Correspondence)

NPJ Vaccines. 2026 Apr 25. doi: 10.1038/s41541-026-01464-2. Online ahead of print.

新型コロナワクチンのスパイクタンパク質 (S) 抗原においてプロリン置換 (S2P) 変異はS抗原を融合前構造として安定化させ高い中和抗体価の誘導に寄与する。しかし、S2P変異がS抗原全体の構造に与える影響は詳細に検討されていなかった。本研究では新型コロナmRNAワクチン接種者と感染回復者の抗体応答の詳細な解析やS抗原の分子動力学シミュレーションにより、S2P変異がS抗原の構造を開きやすくさせ内側に隠れた保存性の良い部位に対する抗体の誘導を促すことが示された。このことからS2P変異がmRNAワクチンの高い抗体誘導能だけでなく誘導される抗体応答の質にも影響することが明らかとなった。今後、このような知見を考慮することで、より良い抗体を誘導できるワクチン抗原のデザインに繋がると期待される。

本研究は、日本医療研究開発機構、日本学術振興会科研費、および厚生労働科学研究費の支援のもと行われました。

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